最初に口座区分を確認する
同じ株式を同じ価格で売っても、NISA口座、特定口座(源泉徴収あり・なし)、一般口座では手続きと税額の見え方が異なります。NISA口座内の対象商品の譲渡益は非課税ですが、そこで生じた譲渡損失は損益通算や繰越控除に使えません。
特定口座(源泉徴収あり)では口座内の税計算と源泉徴収で完結する場合があります。一方、複数口座の損益を通算する場合や繰越損失を使う場合などは確定申告が必要になることがあるため、計算の最初に口座区分と申告方針を入力します。
売却代金ではなく譲渡益を計算する
基本式は、売却による収入金額から取得費と売却手数料などを差し引くことです。税率を掛ける対象は売却代金全体ではなく、必要経費を反映した譲渡所得です。
取得費には株式の購入代金だけでなく購入時の委託手数料等が含まれることがあります。株式分割、相続・贈与、外貨建て取引などがある場合は単純な「購入価格×株数」では足りないため、証券会社の年間取引報告書と自分の台帳を照合します。
一部売却では取得価額の計算方法を確認する
同じ銘柄を複数回買い付けた後に一部だけ売る場合、どの取得分を売ったとみなすかで譲渡益が変わります。日本の税務上の取得価額計算と証券会社の報告方法を確認し、アプリ上の平均取得単価だけで申告額を決めないようにします。
台帳には約定日、数量、単価、手数料、通貨、口座を買付ごとに残します。売却後に取得価額が合わないとき、元のロットまで戻って差分を説明できる状態が必要です。
課税口座の上場株式等は20.315%を基準にする
課税口座における上場株式等の譲渡益には、一般に所得税等15.315%と住民税5%を合わせた20.315%が使われます。計算画面では二つを分けて表示すると、税率の根拠を確認しやすくなります。
ただし、非上場株式、事業としての取引、居住区分が異なる場合などは別の扱いになり得ます。20.315%はすべての金融商品に共通する万能の税率ではなく、対象となる上場株式等の概算基準です。
その年の損益通算と過去の繰越損失を確認する
一回の売却益だけで税額は確定しません。同じ年の上場株式等の譲渡損益、他の証券会社の特定口座、申告分離課税を選んだ配当等との損益通算を確認する必要があります。
損益通算後も残る一定の上場株式等の譲渡損失は、確定申告を続けるなどの要件を満たせば翌年以後3年間の繰越控除が可能です。NISA口座内の損失はこの通算・繰越の対象にならない点を分けて管理します。
計算例:課税口座で40万円の譲渡益が出る場合
売却手数料控除後の収入が150万円、対応する取得費が110万円なら譲渡益は40万円です。他の損益や繰越損失がなく、20.315%をそのまま使う概算では税額は81,260円です。
この場合、売却時に入る150万円から概算税額を差し引いた税引後の売却代金は1,418,740円です。これは投資元本を差し引いた利益ではなく、今回の売却で手元に残る現金の概算です。源泉徴収、端数処理、他口座の損益で実額は変わります。
外国株は円換算と外国税の扱いも確認する
米国株など外貨建て株式では、買付時と売却時の円換算が譲渡損益に影響します。ドルでは利益が小さくても円安によって円換算益が大きくなることがあるため、現在レート一つで両方を換算してはいけません。
配当の外国源泉税と株式売却益の課税は別の論点です。売却税額の画面に配当税を混ぜず、売却益、配当、外国税額控除の可能性を別々に表示する方が誤解を防げます。
計算画面に必要な入力項目と公式資料
入力項目は税務上の居住国、口座区分、銘柄、数量、取得日・取得価額・購入手数料、売却予定日・価格・売却手数料、通貨、当年の他口座損益、配当との通算選択、過去3年の繰越損失です。結果は売却代金、取得費、譲渡益、通算後所得、所得税等、住民税、税引後売却代金の順に示します。
公式資料は国税庁「株式等譲渡益課税制度」(nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/pdf/13.pdf)、国税庁 No.1474「上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」、NISAの案内です。この内容は概算のための一般情報であり、確定申告や税務相談の代わりではありません。
